文化人放送局に著作権侵害の疑い 動画削除申立て

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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当サイトは8月22日までにインターネット番組「文化人放送局」の2本の動画において、当サイトが著作権を有する写真が無断で使用されていることを確認、YouTubeに対して当該動画削除の申立てを行った。動画削除の申し立ては今月上旬から行い、権利侵害が確認できた77本のうち74本の削除が行われており、文化人放送局の2本についても削除される可能性がある。
◾️侵害事案は2件
権利侵害が確認されたのは、7月10日に公開された文化人デジタル瓦版(以下、動画①)、同13日のThe Q&A(同、動画②)という2つの番組内でのこと。どちらも同8日にトルコに強制送還されたユージェル・マヒルジャン氏が実質的に経営する会社の前で立つ写真で、当サイト・令和電子瓦版を主宰する松田隆が撮影した。初出は2023年5月22日の記事(参照・川口市在住クルド人に聞く(後編))で、その後は2025年7月13日の記事でも再掲している(参照・強制送還クルド人リーダー 取材の思い出(後編))。
動画①は「【Abema系クルド人が強制送還】…(略)」というタイトルが付され、番組の中で7秒間、使用されている。動画②は「自公壊滅的惨敗へ…(略)…AbemaTVでクルド人擁護の田村淳氏が逃亡?」のタイトルで、9分を過ぎた部分で21秒間使用されている。当サイトでは当該写真については他者に使用を許諾したことはなく、文化人放送局が権利者に無断で使用したものである。なお、動画①については、当サイトの異議申立て後に該当部分が削除されたもようで、その後、再アップされたのが確認できる。
動画②については、ジャーナリストの佐波優子氏が写真を覗き込み、写っている事実を確認するやりとりがされており、番組内で重要な役割を果たしている。なお、動画は事案の性質を考えてリンクは示さないこととしたので、視聴を希望される方は検索してご確認いただきたい。
川口市に住むクルド人のリーダー格とされるマヒルジャン氏はABEMAに出演するなどメディアには登場していたが、スチール写真としては当サイトが使用したものが目立つぐらいで、産経新聞が取材をしたものの、顔の部分がトリミングでカットされたショットしか見当たらない。そうしたことで無断使用が相次いだものと思われる(参照・クルド人送還関連の動画74件削除 著作権侵害で)。
◾️チャンネル運営に重大な影響も
当サイトではYouTubeに削除の申立て後、文化人放送局に対して、メールで見解を求めた。77件の権利侵害が行われた中で、媒体として最も社会への影響力が強く、本来、言論機関としての責任を強く認識していると思われるからである。
同局から返信は2度いただいた。その詳細はいずれ明らかにする予定であるが、極めて抽象的に表現すれば誤使用であり、それを謝罪するものであった。
YouTubeに対する削除申立ては現在、審査が行われているもよう。同時期に発生した事例では当サイトの申立てによって既に74件の動画が削除されている。文化人放送局に対するYouTube側の結論が出されていない理由は明らかではないが、同局側から何らかの反論がなされ、処分の決定までに時間がかかっている事態が考えられる。
YouTube側がどのような判断を下すかを予想するのは難しい。ただ、削除申立て77件のうち、文化人放送局の2件を除く74件がことごとく削除された(残る1件は審査中)ことを思えば、ともに削除されても不思議はない。
仮に2件が別々の案件とされ、2件の権利侵害が認められた場合はチャンネル運営に重大な制約が生じる可能性がある。YouTubeの公式ルールでは90日以内に2つのライブ配信での侵害事例があれば、ライブ配信が一時的に停止される。また、90日以内に侵害事例が1つあって、合計3つの侵害事例が発生となった場合は、チャンネル閉鎖という処分がなされる(YouTube Help・Understand copyright strikes)。
今回の2件の動画はライブではなかったもようで、仮に2件が削除されてもライブ配信停止とはならないと考えられるが、ルール違反であることは明らか。申立て側としてはYouTube側がどのようなジャッジを下すかに注目している。
◾️削除申立てを行う理由
今回の申立てについて、一般ユーザーがどのような感想を抱くのかは分からない。「たかが写真の1枚や2枚、大目に見てやれ」という声があるかもしれない。あるいは「文化人放送局と令和電子瓦版は政治的な立ち位置に親和性がありそうなのだから、何とかしてやれ」という声も予想できる。
こうした声を前にしても、やはり、これは軽々に済ませていい問題ではないと考える。もちろん、文化人放送局に対して恨みはない。それでも申立てを行ったのは、著作権者として正当な権利を守るためであり、こうして行動に移すことが公益に資すると考えているからである。
著作権侵害は「クリエイターの法益を踏みにじる行為」であり、どのような立場や思想を持つ者であっても、その行為を看過できるものではない。他者の著作物を根拠に主張を補強することが常態化すればメディア全体の信頼が損なわれる。
さまざまなコストをかけて手にした取材の成果が、何のリスクも負わず、コストを支払わない媒体が使用することを認めては、真面目に取材をする者などなくなってしまう。ここで当サイトが「これは著作権侵害である」と申立てをしなければ、文化人放送局をはじめ、多くの媒体が味をしめて同様の侵害行為を繰り返しかねない。
◾️権利者が保護される社会を目指して
今回の件で印象的であったのは動画②での侵害行為である。これは当該写真を画面で紹介し、それをジャーナリストの佐波優子氏が覗き込み「本当ですね。株式会社マヒル、解体工事お任せくださいと、あぁ…」と確認するシーンが放送された。佐波氏もジャーナリストであるなら、当該写真の著作権がクリアされているのかを確認すべき。それをせずに、おそらく局側の指示に従って局側に都合のいいリアクションをしているのであろう。
佐波氏にそういう行動をとらせる局の姿勢が問題であるのは言うまでもないが、佐波氏もジャーナリストであるなら示された写真の使用について権利関係がクリアされているのかを確認してから、つまり正当な主張ができる環境にあるのかを確認してから発言すべき。
厳しい言い方になって申し訳ないが、文化人放送局も佐波優子氏も少しは恥というものを知っていただきたい。どんな主張をするのも自由であるが、その主張はルールに則ったものでなければならないのは子供でもわかる話である。
当サイトが何の見返りもなく動画の削除の申立てを行っているのは、真面目に取材活動をしている者の権利が正当に保護される社会を実現するための小さな一歩と考えている。この記事を読んだ方にはどうか、その点をご理解いただければと思う。
私なりの考察ですが、この手の人達は「俺は正義の為に拡散しているのだ。だからお前はつべこべ文句を言うな。」なのでしょう。
仮にこの拡散が切っ掛けで、国の政策に影響を与えたとしても「俺がお前にかわって拡散してやったのだから感謝しろ。」みたいな横暴な発言をしそうです。
然るべきルールを守り、動画や記事の引用をしたいのであれば、著作権を持つ個人や団体に申し合わせをして、許可を得たうえで動画公開や記事引用をすれば良いのですが、前述の「正義の為」を理由に無断転載や無断引用をしているのでしょう。
これではテロと変わりありません。