開示文書で判明 共産党市議2名の虚偽説明

The following two tabs change content below.
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 共産党調布市議団が組織ぐるみで不正なアクセスをしていた事案で、市議2名がメディアに虚偽の説明をしていたことが、情報公開制度で開示された文書から明らかになった。不正アクセスの事実が発覚した直後に行われた3月13日の幹事長会議での発言と、4日後の17日に行われた当サイトの取材に対する回答が全く異なっていたことが判明。市民への説明を意味するメディアからの取材に虚偽の事実を述べたことは市民を欺く行為といえ、その道義的責任が問われる。

◾️開示された議事録

共産党の田村ゆう子市議(撮影・松田隆)

 事件は共産党の田村ゆう子市議(39)が議員用のクラウドに閲覧権限のない、元市議の男性(73)にIDとパスワードを伝え、調布市議団の岸本直子幹事長(63)は、その事実を把握し、違法なことと知りつつ黙認していたというもの。

 同市議会では3月27日に共産党市議2名に対する問責決議を賛成多数で可決した(参照・共産党市議2名の問責決議可決 幹事長にも責任)。

 問責決議から遡ること2週間、3月13日に田村・岸本両市議は幹事長会議に出席し事情を説明し、謝罪している。当サイトでは調布市情報公開制度に基づき、当該幹事長会議の議事録の公開を請求。4月23日に「市政情報一部公開決定」が通知され、25日までに議事録を入手した。開示された文書は元市議の男性の名前が黒塗りになっている以外は、すべて開示されている。

 ここで公明党の平野充幹事長が「A前議員(筆者註・元市議の男性)がアクセスしていた可能性が高いということで、そこに対してIDとパスワードをお伝えしたという御説明なんですけども、それは田村議員のほうから教えてあげますよというふうに言われて教えられたのか、それともAさんのほうから教えてよというふうに言われて教えられたのか、お伝えしたのか…」と聞いている。

 これに対して田村市議は以下のように答えている。

 「どちらが教えたかということに関しては、明確な記憶はないんですけれども、恐らく私のほうから言ったんだと思います。」(以上、開示された文書から)

◾️取材に対して全く異なる発言

 この4日後の3月17日に当サイトは田村・岸本両市議に取材し、全く同じ質問をして、それを記事で紹介している。

 ーー元議員の男性にIDとパスワードを教えたのはいつ頃ですか

 田村:それはちょっと覚えてないんですけども…覚えてないです

 ーーどういう経緯で渡しましたか

 田村:どういう経緯で?

 ーー向こうからお願いに来たとか、あるいは田村先生の方から使っていいよと言われたのか

 田村:どちらから言ったかというのは、覚えてないです。

 ーー(笑)いやいやいや、そんなことはないでしょう

 岸本:2年以上経ってるからね。

 田村:そうです。

      ……

 岸本:誰から言ったのか、こっちから渡したのか、経過が分からないんですよね。覚えてないんですよ。

 ーー覚えてないんですか?

 岸本:そういう認識が薄らいでしまって、やったのかなって感じの、現状です。

(参照・共産党市議団 組織ぐるみで不正アクセス(後)

 幹事長会議では田村市議の方から渡したと言い、岸本幹事長もそれを聞いている。ところが4日後の取材時にはどちらから言い出したことなのか、田村議員は手渡した経緯は覚えていないと言い、岸本幹事長も「誰から言ったのか、こっちから渡したのか、経過が分からない」としている。

 4日前の幹事長会議では岸本幹事長の目の前で「私のほうから言ったんだと思います。」と発言があったにもかかわらず「経過が分からないんですよね。覚えてないんですよ。」と全く異なる事実を取材に対して語っている。

 この話には続きがある。10日後の3月27日、問責決議が可決された後の取材で、田村市議はIDとパスワードを「紙に書いて渡しました。」と明言。3月17日の取材で「どういう経緯で渡しましたか」という質問には全く答えなかったのに、10日後には具体的な渡し方まで答えているのである。この時は、当サイトが幹事長会議の議事録の開示請求をしていることを察知して、回答を変えてきたものと思われる(参照・嘘がバレそうになり?説明を一変 共産党市議)。

◾️世の中はなかなか許してくれない

開示された幹事長会議の議事録

 幹事長会議の議事録を見ると田村市議は「議会と市行政の信頼関係をも脅かしかねない軽率な行為であり、皆様にも多大な御迷惑をおかけし申し訳ありません。」と語り、岸本幹事長も「本当に皆さんに多大な御心配と御迷惑をおかけしたことを心から謝罪をいたします。」と謝っている。

 反省を口にした2名の市議であるが、その4日後にはこの幹事長会議の内容とは全く異なる説明を行った。幹事長会議は議会向けであるが、メディアに対する説明は調布市民の目に触れるため、虚偽を述べたということは有権者である調布市民を欺く行為と言って差し支えない。議会向けと市民向けで答えを変える市議2名、いかに反省を口にしてもその言葉は空虚に響くだけである。

 問責決議以後、市議会としては目立った動きはない。3月31日の議会運営委員会(宮本和実委員長)で、刑事告訴を含めて問題が話し合われ、宮本委員長は今後、会派の中で協議を続けていくことを求めた(参照・「速やかに告発を」共産市議不正アクセスで公明党)。

 公開された幹事長会議の議事録で、自民党の伊藤学幹事長は以下のように語っている。

共産党の岸本直子市議(幹事長、撮影・松田隆)

 「岸本幹事長さんのおつらい立場もよく分かりますけれども、例えばスピード違反をして、ごめんなさい、許してくれるかというと、なかなか許してくれない。世の中はね。やはり法律に抵触をしたり、何かそうしたことの可能性のあることに対して、今後やりません、すみませんで終わるという世の中でないことも、当然我々は法律を守って議会に参加しているわけですから、一人一人が心して、これからはなお一層、こうした事案を起こさないように、私は結論をきちっと出すべきだというふうに希望いたします。」

 市議会の正副議長も、うやむやに終わらせることはないと断言している(参照・調布市議会は刑事告訴視野 共産市議不正アクセス)。

 こうした様々な状況を考えれば、刑事告訴へと進む可能性はある。ある議会関係者はそれを意識しているのか、「事態は終息に至っていない」と話している。

    "開示文書で判明 共産党市議2名の虚偽説明"に1件のコメントがあります

    1. 匿名 より:

      月曜朝の調布駅に取材に来てください。ここ数週間、共産党の参議院議員立候補者がマイクを握り、党員の老人達が仕事場に向かう現役世代の行手を数mおきにブロックしてビラを配っています。調布在住の山添拓議員も、毎週一緒にマイクを持ちビラをまいていますが、ただの一度も不正アクセス問題に関する市民への説明や謝罪はありません。

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です