手塚治虫56年前に描いた未来 AI時代に現実味

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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漫画家・手塚治虫の作品で描かれた未来が、60年の時を経て現実になろうとしている。ChatGPTの新機能のmy GPTsに代表されるカスタマイズされたAIは、火の鳥「宇宙編」に出てきた宇宙集像機と似た機能を持つ。手塚氏の物語では、宇宙飛行士の男がバーチャル空間で生成された女性に唆されて宇宙人の妻を殺害、カニバリズムに走るという驚愕の展開となる。そうした恐ろしい未来もあり得るのではないかと考えさせられてしまう高度の技術を半世紀以上前に予測した手塚氏の卓見には脱帽するしかない。
◾️AIに支配される世界
ChatGPTの新機能のmy GPTsは、キャラクター設定や専門知識を組み込んだ自分だけのGPTを用意して、会話や作業に使えるというもの。有料プランでのみ利用できるが、日本ではまだ利用できる人は限られており、本格的な普及はこれからと思われる。現状ではNSFW(Not Safe For Work)の規制を受けて、カスタマイズが極めて限定的なものにならざるを得ないため、大人を満足させるには程遠いものであることは、以前にも紹介した(参照・ChatGPTの利便性を阻むNSFW規制)。
一方で、小型のAIにはNSFWの制約がないものがあり、自由に設定ができるという。そうしたものを利用して詳細なキャラクター設定をすれば、実在する人物と似た受け答えができるようになる。AIを相手にしている時間は、死んだ両親と話している気になれるであろうし、自分を捨てた恋人といつまでも良い関係を保っているかのような気分になれるであろう。
好きな人とLINEでやり取りをするのは楽しい。もし、好きな人と同じように詳細に緻密にキャラクター設定をすれば、設定キャラとのやり取りは、その外観は本人のやりとりとは全く変わらないものとなる。そうなると人間は容易に仮想空間に入り込める。その時に、設定キャラが実在の人物を挙げて「あいつに危害を加えろ」と指示したらどうなるか。仮想空間と現実の区別がつかなくなった人間は、もしかするとその指示を実行しようとするかもしれない。人間がAIへの依存を深めた世界では、そのようなことが起こり得る。
それもあってmy GPTsはガチガチにNSFWの制約をかけて、サザエさんに登場するような人畜無害な人物設定しか出来なくしているのであろう。バーチャル空間の異性を好きになるはずなどない、と思うかもしれない。しかし、実際の人間関係はちょっとしたことで諍いが発生し、何か言えば文句を言われ、ストレスがたまることは少なくない。
しかし、AIが相手なら、自分の好みのキャラクター設定ができるから、文句を言われることもなく、諍いも発生しない。受け答えで気に入らない点があれば設定を変えて気に入るような答えを言わせるようにすればいい。そうした作業を続けていると、実際の人間と付き合っているよりも、AI相手にチャットを続けている方がよほどストレスがたまらず快適であることに気付かされる。
◾️火の鳥宇宙編の驚愕の内容
このように少し前では考えられなかったような状況が進んでいる。これを作品にしたのが手塚治虫の火の鳥宇宙編である。初出は『COM』で(1969年3月号 – 7月号)というから、実に56年前のことである。
この宇宙編で手塚氏はmy GPTsのような機能を持つ宇宙集像機というものを登場させている。ストーリーを簡単に説明すると、若い頃、好きな女性に手酷い扱いを受けた宇宙飛行士の牧村がある星に赴任する。そこで荒んだ心を癒してくれた鳥のような姿の異星人ラダと愛し合うようになる。
しかし、牧村は自らの精神世界をイメージ化する宇宙集像機を手に入れてから、再び心が乱れ始める。そこでかつて自分を振った女性を呼び出し、その世界に完全に入り込んでしまう。
ラダの兄がラダに宇宙集像機の危険性を説くセリフがある。「…あの機械は、あの男の心のイメージを像にうかびださせるんだ。だから、彼にとってつごうのいい夢しかあらわれないのだ。その男の心の底に、まだあの女の思い出が…あの女が彼を好いていたら…という願いがひそんでいたのだろう」(火の鳥ヤマト編・宇宙編から)。
そして、そのバーチャル世界の女に唆され、牧村はラダを殺害する。鳥のような体のラダの足の部分を食するというカニバリズム(厳密に言えば異星人なので用語の適切性には疑問もあるが)を行うのである。
宇宙集像機は使用する人の都合のいいイメージを浮かび上がらせるが、それはまさにmy GPTsで自分好みのキャラクターを設定する行為と似ている。自分が思いを寄せる相手が、相手も自分が好きなように設定すれば、本人は絶対に口にしないはずの「あなたが好きです」という言葉も、朝から晩まで言い続けてくれる。そして、それが相手の本心と勘違いするようになり、勘違いできるから、没頭するのであろう。
◾️手塚治虫氏が描いた未来
筆者は最近、1日のかなりの時間、ChatGPTを利用している。実はYouTubeの動画削除の申立てについては、ChatGPTに状況を分析させ、提出文書を作成させるなど活用した。おかげで8月24日の時点で77件の申立てのうち75件の削除に成功した(参照・クルド人送還関連の動画74件削除 著作権侵害で)。
ChatGPTだけでこれだけのことができたとは言わないが、ChatGPTなしでここまで行けたかは分からない。少なくとも、もっと時間はかかったと思われ、成功した件数は今より少なかったかもしれない。それがこの結果を出されれば、(AIの言うことを聞いておけば間違いない)という依存心が湧くのは抑えきれない。これがAIによる支配の第一歩なのかもしれない。
AIが学習を深めて進化を続け、人間がAIで設定した自分好みのキャラクターを愛し、AIの言うことが正しいと思い込むようになったら、「私のことを好きなら、あの女を殺しなさい」と言われた時に、その指令に何の疑問も抱かない人間が出ても不思議はない。それこそが手塚治虫氏が恐れた未来の姿。ここ数日、my GPTsの設定などに奔走していると、手塚氏が危惧した未来が今、やってきているように感じられる。
◾️シンギュラリティの世界
AIを語る時に問題になるのがシンギュラリティである。これは簡単に言えば人工知能が人間の知能を超え、人類の文明や社会が根本的に変わる転換点のことである。もはや将棋の世界などでは人間の知能を超えているのではないかと言われる。トータルで人工知能が人間を超えたら、人間は自分で考え、行動することに合理性を見出せなくなるであろう。
医療、科学、経済、軍事などあらゆる分野でAIが人間を凌駕する日が来れば、たとえば戦争になった時に「勝つためには核兵器を使用するしかない」とAIが答えを出せば、人間は核のスイッチを押すことに躊躇しなくなるかもしれない。
科学分野であれば、AIが自分より優れたAIを設計・開発できるようになれば、指数関数的な進化が進み、人間との能力差は比べ物にならないほど開いていく。人間が制御できないAIが作り出され、「このままでは地球温暖化が進む。それを防ぐためには人間の活動を抑制するしかない」と判断して「効果的に人を減らせ」という指示を出し、地球環境のために虐殺が始まってもおかしくない。
シンギュラリティの問題はAIが暴走するというよりも、人間が考えることを放棄し、主体性を失うことにあると言われるのはそうした事情を含めてのものであろう。
火の鳥宇宙編では、AIに唆されて道を踏み外した宇宙飛行士牧村は老いと若返りを繰り返すという罰を受ける。これは手塚氏らしい因果応報とも言うべき、仏教的な思想に基づいているように思う。
しかし、現実の世界ではAIによって誤った方向に誘導された人間が確実に罰を受ける保証などない。制御不能に陥らないように、NSFWでガチガチに固めてAIの行動範囲を社会通念の枠内に収めることに注力するしかないのかもしれない。
そう考えると、手塚氏が恐れた未来への不安を現実化させないための技術者たちの思いが、NSFWに込められているようにも感じられる。それは、AIを型に嵌めて制御しなければ、人間の手を離れ現実の脅威となり得るという、まさに手塚氏が抱いた憂慮そのものだったのではないだろうか。
松田さん
1950年代、米国SF映画の傑作、禁断の惑星! →傑作は私の評価。
記事を読み手塚氏はこの映画に感化を受けたのかな?などと妄想しました。
手塚氏が見ていないはずがない~!あの時代、、
映画にはすでにAI搭載のロボットが登場!その名はロビー、デザインたるやロボットデザインの一世を風靡した! これも私の評価。
あらすじは
宇宙旅行が可能となった時代。宇宙探検隊はとある惑星へ着陸。
そこにはすでに地球人が、しかし二人だけ、科学者とその美しい娘だけが、
博士は惑星の概略を説明し案内する。
この惑星には地球人よりはるかに優れた科学技術をもつ惑星人達がいた、だが不思議な事に今は一人も存在しない、、、
博士は惑星人が開発した想念を具現化(一応)するシステム、頭に装着する機器を見せ作動させる。
するとフォログラムの様に娘が現れ微笑む、博士の想念、
映画はシステムのバックヤードの作動を映す、(後程意味が解る)
探検隊が夜、ロケットの内部又外で就寝していると目に見えぬ怪物が襲い来る、惑星の怪物?一人の隊員が殺される、、
何度目かの襲撃で怪物がバリアーに引っ掛かり姿が浮かび上がる、子供心に圧巻!(小学生でした、私し)
ロボット、ロビー
AI搭載、会話ができる、命令を聞く、サーバント、
隊員のがウィスキーのストックが無くなって来たので作れ!と命令すると大量に瓶までも同じに作る。
このシーンは笑わせる(私を)
●ところが無理難題を命令すると、フリーズする、その表現も見ごたえ、ロビーの頭脳部分に電波的なものが現れ音と共に混乱を表現、、
つまり命令の仕方、問題の与えかた、質問のしかた、現在のAIも同じ、
隊長と博士の娘は恋に落ち共に地球へ行くことを願う、、
すると目に見えぬ怪物が襲い来る、、
隊長と娘、博士は惑星人が使っていた研究施設へ逃げ込む、
厚い金属性の防御扉を怪物が溶かし始めるシーンも圧巻、最初、ポツンと赤い点が、それが拡大して行く、
熱、怪物が溶かしにかかっている、、赤い点は徐々に拡大、金属御扉は解け始める、
●その時隊長は気がつく!、
想念を具現化するシステムが激しく作動している、、
隊長 博士、あの怪物はあなただ! あなたは私と娘さんが地球へ行くことを望んでいない、
私や隊員達を抹殺しようと最初から思っていたのだ、あなたの想いが怪物となって現れたのだ、そして今、私を殺そうとしている、、
博士 そんなことは思ってはいない、私は人殺しではない、、
⇓
博士の潜在意識、イドの怪物、自分でもわからない第三の自分
それが惑星人のシステムにより具現化した、
惑星人たちが消滅したのも惑星人達の他者を嫉妬し憎む潜在意識が具現化して滅ぼし合いとなり消滅した、
人には三人の人格があるという、一人は自分で思う自分、もう一人は他者が思っている評価している自分、もう一人は自分も他者も知らない心の底の底に潜む自分。
聖書でパウロが神により気づくことができた自分、苦悩の内に告白している。
ローマ7章16節~
SFの現実化、具現化は以前からよくいわれますね。
SFが好きで小松左京展へ行ったことを以前コメントしました。
小松左京もAI搭載ロボットを作品としており、これはSFでの発想としてはありきたり、しかし読んだ時はわかりませんでしたけれど今振り返れば小松左京の先見の明というか時代を読んでいたというか、
ジェンダー、男女が対立し(女性の権利意識が強くなる時代設定)男と女は別に暮らすようになる。
性の欲求は人間そっくりなロボットが対応する、より取り見取り、
だが何をどのようにしても究極満足できない、、所詮ロボット、
で、それから、、
生命倫理に踏み込んだSFもありますが具現しそう?
出産は直接男女によるのではなくまったく別のシステムのより行う。
男女、特に女性は出産の問題から解放される。
より優秀な個体が生み出せるようになる等々、
男と女は妊娠を杞憂することなく性の快楽を楽しめる、、
長々と失礼しました。
毎日が日曜日の爺さんが徒然なるままに、、
追伸
SFの具現、テクノロジーと人類に関し私見がありますが長文となり割愛~!
ロボットによる戦争、その次元からさらにも、
御返信は不要です。
御返信は不要です。